「終わらない毎日の終わりまで」続きの3。
一応、これでおしまいです。
お付き合い頂いた方、ありがとうございましたー(´∀`)
曇り空が重苦しい。
天気予報は飴だといっていた。
空はまだ、雲のなかに雨を溜め込んでいる。
今日は傘を持って家を出る。玄関に母親の傘があった。この間も、母親は濡れて帰ってきた。雨に濡れるのが好きなのだろうか。
さむく、ないのかな…。
サンノミヤさんはいつもどおり、3時間目の途中から出てきた。席についた瞬間、突っ伏して眠り始める。
先生は何も言わなかった。
僕も、一瞬見ただけで。
サンノミヤさんはすぐに小さな寝息を立て始めた。僕はそれを勝手に、授業のBGMにした。
4時間目になっても昼休みになっても、サンノミヤさんはずっと寝ていた。みんなが彼女を起こさないように気を遣っている。
サンノミヤさんは「不良」だったけれど、案外みんなから好かれていた。だから気を遣って居るとは言っても、みんなびくびくしているふうではなかった。
サンノミヤさんは、僕が購買でパンを買って帰ってきても、まだ寝ていた。
教室の入り口で、僕は誰にもわからないように深呼吸をした。指先に力が入って、ヤキソバパンが少し凹んだ。
昨日の夜、僕はずっと考えていた。
サンノミヤさんは、僕にとってなんなのか。
サンノミヤさんは、あのときどんな表情をしていたのか。
「ともだち」ということばの意味。
僕自身は、どうしたいのか。
ずっと考えているうちに、どうやら眠ってしまったらしく、めざましの音で、朝だと気づいた。
まったく眠った気はしなかったけれど、頭のなかは驚くほどクリアだった。
僕は、僕の行動に理由が欲しくて考えていただけで。
既に、結論は出ていたんだ。
サンノミヤさんの席の前に立つ。
周りの人間が、僕を見る。僕というよりかは、「サンノミヤさんの席の前に立つ」僕を。
「サンノミヤさん」
声をかける。彼女は微動だにしない。
「ごはん…一緒に、」声がしぼみそうになるのを、こらえる。「食べてもいいかな」
しゃべりたいことをしゃべることは、こんなにも、難しい。
「サンノミヤさん」
名前を呼ぶ。動かない。規則的な呼吸で、肩が上下する。
本当に眠っている…のか。
それを確かめる方法が、ひとつある。
「エーコちゃん」
「……名前で呼ぶなよ」
ぽつりと、声が返ってくる。
サンノミヤさんがもそもそ起き上がる。頬に、机の赤いあとがついていた。
はじめは本当に眠っていたらしい。
視線だけ、僕に向ける。上目遣いにすると、普段から大きな目が、更に大きく見える。
「ヤキソバパン?」
僕の手元に目をやって、サンノミヤさんが言う。
「うん、」
「……」何度か、緩慢な瞬きをして。「食うか、」
独り言のように、呟く。
「うん」
サンノミヤさんのすぐ前の席が余っていたので、その椅子を反転させて。向かい合わせに座る。
かばんから弁当箱をだしながら、サンノミヤさんがいう。「サイトウさぁ」
「うん、「いっつもヤキソバパンってさ、そんな好きなの? 飽きないの?」「…おいしいよ、」「ふぅん、じゃあちょっとくれよ」「…自分で買ってきなよ…」「あ、」
ふと、サンノミヤさんが僕を見る。
「いうじゃねぇかよ」
にやりと、笑った。
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